SaaSトップセールスの先輩に聞く!
ライフワークバランス術
ほったけんたのやってきたこと
SNSのX(旧Twitter)で、SaaS セールス国内 日本最大級約3万フォロワーを誇るほったけんたさん。異業種からSaaS業界へと転職しトップセールスへと駆け上がり、SaaS業界人だけでなくメディアからも注目を集めています。そんなSaaS業界の先輩から、SaaS営業の特徴からワークライフバランスまで「生きる」と「働く」の境界線を引くためのヒントを教えてもらいました。
※本記事は、2026年2月20日現在の情報です
1 人材派遣営業からSaaS営業へ!ほったけんたさんのキャリアストーリー
ほった’s Career History
| 2013年 | 株式会社パソナに入社。人材派遣営業として新規開拓を担当 |
|---|---|
| 2016年 | 株式会社ラクスに転職。経費精算サービスの営業を担当。その後、同サービスのインサイドセールス組織の立ち上げに携わり、インサイドセールス・オンラインセールス・フィールドセールスを含む約30名規模の営業組織を統括。2020年には、新たにリリースされた勤怠管理サービスの営業組織の立ち上げに貢献 |
| 2023年 | SecureNavi株式会社に転職。営業部長を経て、ビジネス本部長に就任。2025年11月に育休を取得し2026年2月に復職 |
「身近な人たちの課題を解決したい」。人材派遣業界からSaaS業界へ転職
母への思いから、人が生き生きと働く支援をするために人材派遣会社へ
私の「働く」原点にあるのは、「社会に貢献したい」という思いです。その背景には、高校生の頃に見ていた母の姿があります。母は、もともとやりがいを持って働いていましたが、ある時期から元気を失っていったんです。職場環境など、さまざまな要因があったのだと思いますが、この時に、働く環境が人の気持ちや人生に与える影響は想像以上に大きいのだと実感し、「自分も近しい人のために貢献したい」と思っていました。
こうした経験から、大学卒業後は、女性をはじめ多様なバックグラウンドを持つ人たちが生き生きと働ける環境づくりを支援する大手人材派遣会社の株式会社パソナに入社。人材派遣営業として、飛び込み営業を中心に新規開拓を行い、企業の採用課題に向き合う一方で、派遣スタッフのフォローも担当していました。
もっと顧客と向き合いたい。自身の思いとキャリアップをかなえるためSaaS業界へ
事業を通じて「社会の問題を解決する」というパソナの理念に強く共感し、仕事には前のめりで取り組んでいました。しかし、「社会への貢献」に対する考え方が、私とは少し距離があると感じ、「身近な人たちの課題に、直接向き合いたい」という思いが再び強くなっていきました。加えて自分のキャリアパスを考える中で、数字や成果を通じて自分自身の成長を実感できる環境に挑戦したいという気持ちも芽生えてきたのです。
転職活動は、エージェントを通し、さまざまな業界を検討しました。中 なかでも、クラウドサービス(今のSaaS)市場が本格的に拡大し始めていた時期で、成長性に引惹かれました。
面談で株式会社ラクスを へ訪れた際、18時台にもかかわらずオフィスに残っていたのはわずか。「PDCAを回し、生産性の高い働き方をしているからこそ」という言葉に触れ、そうした働き方が仕組みとして根付いていることを実感し、「ここでなら、新しい挑戦ができそう」と確信しました。ご縁もあり、2016年に、バックオフィス業務を効率化するSaaSを提供する営業職に転職できました。
「チームで『顧客満足』を提供する楽しさ」。組織づくりを通して自身も成長
新天地での新たなチャレンジで「The Model」型の浸透に貢献
SaaS営業の大きな特徴は、前職で経験したいわゆる一般的な営業のように個人で完結するものではなく、チームで「顧客満足」という成果を生み出す点にあります。現在主流となっているのが、「The Model」と呼ばれる分業型の営業プロセスです。
「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」と、主に4つの職種が専門性を発揮しながら顧客に向き合う営業スタイルです。職種を越えて数値や顧客情報を共有することで、営業活動の再現性が高まり、継続的に価値を届けることが可能になります。お互いの役割を尊重し、補完し合いながら価値を届けていく——そのプロセスそのものに、SaaS営業ならではの楽しさがあります。
ただ、入社当時のラクスでは、分業性が十分に整っておらず、試験的な運用を行っていました。私は経費精算サービスのフィールドセールスとして顧客訪問や展示会での提案を行う一方、インサイドセールスの前身となる業務にも携わっていました。慌ただしい日常でしたが、業務に慣れていくにつれて、目の前の顧客が持つ課題の解決にもしっかりと向き合えている実感が湧いてきました。
組織づくりの役割を担い、事業の「1→10」フェーズの原動力に
事業成長に伴い営業プロセスの分業化が本格化し、2018年にはインサイドセールス組織とオンラインセールス組織の立ち上げを任されることになります。以降は、インサイドセールス・オンラインセールス・フィールドセールスから成る、約30名規模の営業組織の統括を担いました。
分業体制を社内に広く導入するフェーズで、新しい役割や分業の考え方に戸惑うメンバーも少なくありませんでしたので、オンボーディング体制を整備し、営業プロセス全体の意義や各役割が生み出す価値を丁寧に共有していきました。加えて、職種間の情報連携やコミュニケーション設計にも注力し、その積み重ねが功を奏して営業チームの成長につながり、顧客の課題解決への貢献としても成果を出すことができました。
結果、事業規模の拡大にも貢献することができました。リーダーとしての挑戦で苦労しましたが、その分「1→10」のフェーズで味わった、組織づくりの手応えと達成感は今でも忘れられません。さらに2020年には、新たにリリースした勤怠サービスの営業組織の立ち上げという「0→1」のフェーズにも挑戦。試行錯誤の連続でしたが、仕組みを構築し、人が育ち、成果が再現されていく過程は刺激的でやりがいがありました。
「ゼロから市場をつくる」。社員17名のスタートアップ企業での挑戦
働き方も生き方も変化する30代での転職
転職を考えたのは、30代に入り、あらためて自身の「働き方」と「生き方」に向き合う変化が重なったためです。きっかけは、当時、オフィスの高層階への移転が決まり、高所恐怖症だったことから、日常的に働くイメージが持てなかったことです。上長も配慮してくれましたが、自己都合で迷惑をかけるのも申し分けないとの思いもありました。また、プライベートでは結婚し子育てを見据える中で、場所や時間に縛られない、より柔軟な働き方を選択肢として考えるようになっていきました。
転職自体を前向きに捉えるようになり、次に挑戦するのであれば、培った「0→1」「1→10」の経験を生かしながら、SaaS業界の中でも新たな領域に踏み込みたいと考えていました。成熟・均一化が進む市場ではなく、これから価値が広がっていく領域で、もう一度ゼロから挑戦したい思いが、現在在席しているSecureNavi株式会社との出会いにつながりました。
新しい市場の創造を行うべくSaaS業界の可能性を追求
当社が提供する「SecureNavi」は、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証やP(プライバシー)マークの取得から維持・運用までを自動化・効率化するクラウドサービスです。同種のプロダクトは国内でも数が少なく、新しい市場の創造に取り組んでおり、「SaaSプロダクトは出尽くした」と言われることもありますが、視点を変えれば、まだブルーオーシャンは確実にあると感じています。
2023年の入社当時は17名のスタートアップ企業でしたが、現在では業種・規模を問わず多くの企業にご利用いただき、事業が拡大、社員数も約100名に上ります。私は、営業部長を経て、ビジネス本部長として、フィールドセールスおよびビジネス戦略部を統括。扱うプロダクトは異なりますが、SaaSビジネスに共通する知識や経験を生かして、より高度な意思決定や戦略設計に携わっています。2025年11月から育休を取得中で2026年2月に復職しました。
2 SaaS営業だからこそ得られる、自分らしい働き方
SaaS営業は役割が明確。だから、働き方を選べる
約9年間、SaaS業界で走り続けてこられたのは、顧客価値の追求に貢献できることに楽しさを感じたからです。またSaaS業界自体が、どのような役割においても自分らしい働き方が実現できる環境だからです。具体的には、ライフスタイルを大切にしながらも、組織の中で期待される役割をきちんと担い、貢献できる働き方がかなう点にあります。
例えばSaaS営業では、営業プロセスが仕組みとして根付いているので、役割やKPIといった評価指標も明確に定義されています。そのため、働く時間や場所が変わっても成果や成長が可視化されやすく、報酬面についても納得感を持ちやすい環境があります。分業体制が前提にあることで、一人に負荷が集中することも少なく、状況に応じて役割の比重を柔軟に調整できます。
人生のステージによっては仕事に集中したい時期もありますよね。私自身も、スキルアップを重ねながら、まだまだ全力で働きたいと考えていました。そうした中で2025年末に子どもを授かり、子育てというライフステージの変化を迎えていますが、限られた時間の中でも、これまでと変わらず役割を果たし続けられると感じています。変化を前にしながらも、自分らしいバランスで働ける環境があることは、非常に心強いですね。
キャリアも自分らしく。人事領域や組織開発に挑戦したい
いち営業からマネジメント、組織立ち上げまでを経験できた私のように、想像を超えるキャリアや景色に出会えることも、SaaS業界ならではの魅力だと感じています。例えば最近では、カスタマーサクセスからフィールドセールスへ、あるいはその逆へと異動するケースは珍しくありません。また直販担当者が、パートナービジネス(代理店販売)にチャレンジする事例もあります。さらに事業の拡大フェーズでは、人事経験がなくても、採用や組織づくりに関わるHRビジネスパートナーの役割に挑戦する人が出てきているのも印象的です。
一つの役割を担いながら、隣接する職種に関わる中で新たな興味が芽生え、それが次のキャリアにつながっていく。そうした多様なキャリアの選択肢が用意されていること自体が、働く人を前向きにしてくれるのではないでしょうか。私は今後、人事や組織開発の領域にもチャレンジしていきたいと考えていて、社内でより多くの人が生き生きと働ける環境づくりに貢献していきたいと思っています。また、SaaS企業で培った知見を副業に生かす人も増えています。私自身も、インサイドセールス代行会社の顧問や、SaaS企業の広報・PR支援を副業として行いながら、キャリアの幅を広げています。
心地よい仕事部屋の環境をパートナーに、生産性高く働ける
約9年間、SaaS業界で走り続けられたのは、顧客価値の追求に貢献できることに楽しさを感じたからです。またSaaS業界自体が、どのような役割においても自分らしい働き方が実現できる環境だからです。具体的には、ライフスタイルを大切にしながらも、組織の中で期待される役割をきちんと担い、貢献できる働き方が叶う点にあります。
例えばSaaS営業では、営業プロセスが仕組みとして根づいているので、役割やKPIといった評価指標も明確に定義されています。そのため、働く時間や場所が変わっても成果や成長が可視化されやすく、報酬面についても納得感を持ちやすい環境があります。分業体制が前提にあることで、一人に負荷が集中することも少なく、状況に応じて役割の比重を柔軟に調整できます。
人生のステージによっては仕事に集中したい時期もありますよね。私自身も、スキルアップを重ねながら、まだまだ全力で働きたいと考えていました。そうした中で2025年末に子どもを授かり、子育てというライフステージの変化を迎えていますが、限られた時間の中でも、これまでと変わらず役割を果たし続けられると感じています。変化を前にしながらも、自分らしいバランスで働ける環境があることは、非常に心強いですね。
SaaS企業では、出社かフルリモートかに関わらず、無駄を省き、生産性を重視した働き方が浸透しています。中でも当社のようにフルリモートを採用している企業は多く、私の現在の生活に合っているだけでなく、仕事に向き合う質そのものを高めてくれると感じています。
仕事部屋の環境についても、自分に合った椅子やデスクを選ぶなど、必要な投資を惜しまないことで、モチベーションが高まり、より自然に仕事に集中できるようになりました。こうした環境づくりは、生産性の向上だけでなく、健康面にも良い影響を与えてくれています。また、お気に入りの音楽を流しながら、机上のグリーンに癒やされつつ仕事に向き合えることも、自分らしい働き方を支えてくれるポイントです。
3 ほったさんの「生きる」と「働く」の境界線は?
朝活に副業、家事も自然に。人生の幸福度がアップ
フルリモートになってから、仕事とプライベートの境界線は、いい意味でかなり曖昧になりました。どちらかを我慢するのではなく、どちらも自分らしく楽しめる方が合っていると感じています。フルリモートで生まれた余白時間は、「SaaS朝食会」や「読書会」を主催したり、趣味の読書に没頭したり、散歩をしたりと、いろいろな活動に使っています。副業や自己研鑽の時間に充てることもありますが、不思議と疲れる感覚はありません。むしろ楽しくて、人生の幸福度が上がった実感があります。
家事にも今まで以上に向き合うことができ、妻を支えられるようになってきました。今の働き方は、これからの人生を考えても、すごくプラスだと感じています。
自著『SaaS企業小説』執筆への思い
余白時間に始めた一つが『SaaS企業小説』の執筆です。きっかけは、本当にシンプルで、企業変革をテーマにした、実業家・三枝匡さんの作品に影響を受けて、「自分もこんな企業小説が書けたらいいな」と思ったのが始まりでした。
SaaS業界や仕事のことを、説明として伝えるのではなく、ストーリーとして届けたい。小説の中には、日々仕事をする中で感じている業界や会社の課題も、さりげなく織り込んでいます。物語にすることで、読者に「この業界、ちょっと面白そう」「この仕事、意外と自分に近いかも」と感じてもらえたらうれしいですね。
ほったけんたが送る“SaaS営業への転職を考える人たちへ”
余白時間に始めた一つが「SaaS企業小説」の執筆です。きっかけは、本当にシンプルで、企業変革をテーマにした、実業家・三枝匡さんの作品に影響を受けて、「自分もこんな企業小説が書けたらいいな」と思ったのが始まりでした。
SaaS業界や仕事のことを、説明として伝えるのではなく、ストーリーとして届けたい。小説の中には、日々仕事をする中で感じている業界や会社の課題も、さりげなく織り込んでいます。物語にすることで、「この業界、ちょっと面白そう」「この仕事、意外と自分に近いかも」と感じてもらえたらうれしいですね。
SaaS営業は、自分らしい働き方を選びながらも、安心してチャレンジできる仕事だと思います。技術の進化が早い業界だからこそ、「一人で完璧を目指さなくていい」文化があり、教え合いながら成長できる環境が整っています。オンボーディングがしっかりしている企業も多く、異業種からの転職でも不安は少ないはずです。
また、SaaS営業で身に付くのは、特定の商材だけに通用するスキルではありません。顧客の課題を聞き、整理し、分かりやすく伝える力は、どの業界でも生かせます。まずは勤怠管理や経費精算など、自分に身近な業務を支えるSaaSから検討してみるのもおすすめです。
